黒うさぎルルたんの日記
黒うさぎ・ルルーシュの生活記録です。
時々小説形式もあったりします。
禁・無断転載/引用。禁・サ○ライズでお願いします。
コメント頂けるとすごくうれしいです♪
2007
「ええ~、なになに? スザクくん、恋わずらいなのかい?」
二人の間に割ってきたのは、スザクとセシルの上司ロイドだった。
まずいところを聞かれたかもしれない。
ロイドという人は、悪い人間ではないが…ちょっとばかり癖のある人物なのだ。
「い、いえ…その、恋煩いなんて…まったく」
「あれ~? そんなふうに誤魔化すなんてますます怪しい!」
めがねを軽くずらし、けけけと笑いながら、ロイドは白衣のポケットに手を突っ込んだ。
ごそごそと何かをあさる。
「ああ、あった! ほら、スザクくん、これあげる」
「何ですか? これ…」
「さて…何でしょう?」
小さな茶色いビン。
薬、だろうか?
すかしてみると、とろりとした液体が入っているようだった。
「いいですよ。何に使うか分からないし…僕はいらな…」
返そうとしたスザクの手をとめたのは、意外にもセシルだった。
「いいじゃない。スザクくん。ケチなロイドさんがくれるっていうんだから、貰っておいたら? あなたくらいオクテな男の子はそれくらいのもの使った方がいいかもしれないし」
それくらいの…もの?
使う?
誰に??
(一体、何言ってるんだろう、セシルさん)
仕方ない。返せないとなったら、ロッカーにでもおいていくまでだ。
変わった上司と先輩に囲まれると大変だ。
普段は楽しい職場だが、今日ばかりは心底そう思った。
二人の間に割ってきたのは、スザクとセシルの上司ロイドだった。
まずいところを聞かれたかもしれない。
ロイドという人は、悪い人間ではないが…ちょっとばかり癖のある人物なのだ。
「い、いえ…その、恋煩いなんて…まったく」
「あれ~? そんなふうに誤魔化すなんてますます怪しい!」
めがねを軽くずらし、けけけと笑いながら、ロイドは白衣のポケットに手を突っ込んだ。
ごそごそと何かをあさる。
「ああ、あった! ほら、スザクくん、これあげる」
「何ですか? これ…」
「さて…何でしょう?」
小さな茶色いビン。
薬、だろうか?
すかしてみると、とろりとした液体が入っているようだった。
「いいですよ。何に使うか分からないし…僕はいらな…」
返そうとしたスザクの手をとめたのは、意外にもセシルだった。
「いいじゃない。スザクくん。ケチなロイドさんがくれるっていうんだから、貰っておいたら? あなたくらいオクテな男の子はそれくらいのもの使った方がいいかもしれないし」
それくらいの…もの?
使う?
誰に??
(一体、何言ってるんだろう、セシルさん)
仕方ない。返せないとなったら、ロッカーにでもおいていくまでだ。
変わった上司と先輩に囲まれると大変だ。
普段は楽しい職場だが、今日ばかりは心底そう思った。
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2007
「…はああ~」
思わず盛大なため息をつくと、すぐ側でそれを見ていたセシルが心底嫌そうな顔で「なあに? 私の幸せまで逃げちゃうからやめてよね」とさりげなくひどいことを言う。
物腰柔らかで、美人なセシルは顔に似合わず、言うことはスパイシーだ。
普段なら、先輩をたてるのがスザクの心情だが、今日はそんなことを言っている余裕はなかった。
ひどくやさぐれた気分で、
「今時、そんなこと言うなんて古いですよ。大体…ため息つかなくたって、逃げる時は逃げるんです」
「まあ、今日のスザクくん、ちょっと不良だわ」
「ほっといてください…」
そう…いっそのこと自分なんて世界にたった一人、寂しく取り残されたらいいのだ。
可愛いルルーシュにあんな顔させて…あげくのはてに泣かせてしまって…。
(僕って最低…)
その理由が、まったくもって、勝手な理由なのだから、どうあっても自分を許すことが出来ない。
ルルーシュのことが好きで、襲ってしまいそうになるから避けてる、だなんて…そんなこといえるはずがないし…。
馬鹿正直にそんなこと言ったら、きっとルルーシュはスザクのことを軽蔑するだろう。
うじうじと机に突っ伏していると、その背中をバン!とこの上なくいい音をさせてセシルがはたいた。
「…うっ…」
細腕なのに意外と力強いのは、さすがは軍人といったところだろうか。
強くはたいたその手で、スザクの癖毛頭を優しくなでながら、
「しゃきんとしなさい、スザクくん。そんなふうにダラダラしてたら、実る恋も実らなくなるわよ」
「え…恋…って…」
「あら、恋煩いでしょう? あなたくらいの年頃の男の子がうじうじしてるのは、お財布を落とした時か、恋に悩んでいる時からどちらかじゃない!」
思わず盛大なため息をつくと、すぐ側でそれを見ていたセシルが心底嫌そうな顔で「なあに? 私の幸せまで逃げちゃうからやめてよね」とさりげなくひどいことを言う。
物腰柔らかで、美人なセシルは顔に似合わず、言うことはスパイシーだ。
普段なら、先輩をたてるのがスザクの心情だが、今日はそんなことを言っている余裕はなかった。
ひどくやさぐれた気分で、
「今時、そんなこと言うなんて古いですよ。大体…ため息つかなくたって、逃げる時は逃げるんです」
「まあ、今日のスザクくん、ちょっと不良だわ」
「ほっといてください…」
そう…いっそのこと自分なんて世界にたった一人、寂しく取り残されたらいいのだ。
可愛いルルーシュにあんな顔させて…あげくのはてに泣かせてしまって…。
(僕って最低…)
その理由が、まったくもって、勝手な理由なのだから、どうあっても自分を許すことが出来ない。
ルルーシュのことが好きで、襲ってしまいそうになるから避けてる、だなんて…そんなこといえるはずがないし…。
馬鹿正直にそんなこと言ったら、きっとルルーシュはスザクのことを軽蔑するだろう。
うじうじと机に突っ伏していると、その背中をバン!とこの上なくいい音をさせてセシルがはたいた。
「…うっ…」
細腕なのに意外と力強いのは、さすがは軍人といったところだろうか。
強くはたいたその手で、スザクの癖毛頭を優しくなでながら、
「しゃきんとしなさい、スザクくん。そんなふうにダラダラしてたら、実る恋も実らなくなるわよ」
「え…恋…って…」
「あら、恋煩いでしょう? あなたくらいの年頃の男の子がうじうじしてるのは、お財布を落とした時か、恋に悩んでいる時からどちらかじゃない!」
2007
妖精が人間界に来るためには、相当な力を要する。
本当ならば、ルルーシュのようにまだ未熟な妖精がほいほいと来ることは出来ないはずなのだが…あの日、一体何が作用したのか、気付けばルルーシュは人間界に落ちてきていた。
「…もしかして、喧嘩した腹いせにオヤジが俺のこと飛ばしたとか…? あいつならありうる…」
スザクにも一応説明はしたのだが、ルルーシュは妖精の国の皇子だ。
あの日、父である皇帝とちょっとしたことで大喧嘩をし、ものすごく腹が立って、城を飛び出してきたのだ。
妖精の国にいるのならば、ルルーシュの力はまったく問題はない。
一週間くらい、どこか旅行でもして、心配させてやろう…なんて軽い気持ちで出てきたのだったが…。
「…気付いたらこっちにきちゃったんだよなあ…。でも、まあ…こっちも気に入ってるんだけど…」
不満があるとすれば、可愛い妹・ナナリーに合えないことくらいだ。
スザクが作ってくれる料理はおいしいし、スザクは優しいし…。
「…って、なんで俺ってば、スザクのことばっか…」
スザクなんてどうだっていいのに!
この間から、スザクは態度が悪いのだ。
変にこちらをちらちら見てくるくせに、いざルルーシュが近づこうとすると避けるし…。
今までは、うっとおしいくらいベタベタしてきたくせに…。
こんな狭い部屋で、遠ざけようとされても…感じ悪いし、傷つくし。
インターネットで色々調べて、ルルーシュなりに努力してみたのだけれど、少しも効果がない。
昨日は、つい寂しくなって…うかつにもスザクの前で泣いてしまった。
最悪だ。
「泣いたら慌てて…。なんなんだよ、あれ…」
これは、もしやジェネレーションギャップならぬ…いや、もうなんといっていいのやら…。
「…もう一度調べてみようかな…」
どちらにしろ、この部屋から出られないルルーシュは、インターネットでも見るしか時間のつぶしようがないのだ。
本当ならば、ルルーシュのようにまだ未熟な妖精がほいほいと来ることは出来ないはずなのだが…あの日、一体何が作用したのか、気付けばルルーシュは人間界に落ちてきていた。
「…もしかして、喧嘩した腹いせにオヤジが俺のこと飛ばしたとか…? あいつならありうる…」
スザクにも一応説明はしたのだが、ルルーシュは妖精の国の皇子だ。
あの日、父である皇帝とちょっとしたことで大喧嘩をし、ものすごく腹が立って、城を飛び出してきたのだ。
妖精の国にいるのならば、ルルーシュの力はまったく問題はない。
一週間くらい、どこか旅行でもして、心配させてやろう…なんて軽い気持ちで出てきたのだったが…。
「…気付いたらこっちにきちゃったんだよなあ…。でも、まあ…こっちも気に入ってるんだけど…」
不満があるとすれば、可愛い妹・ナナリーに合えないことくらいだ。
スザクが作ってくれる料理はおいしいし、スザクは優しいし…。
「…って、なんで俺ってば、スザクのことばっか…」
スザクなんてどうだっていいのに!
この間から、スザクは態度が悪いのだ。
変にこちらをちらちら見てくるくせに、いざルルーシュが近づこうとすると避けるし…。
今までは、うっとおしいくらいベタベタしてきたくせに…。
こんな狭い部屋で、遠ざけようとされても…感じ悪いし、傷つくし。
インターネットで色々調べて、ルルーシュなりに努力してみたのだけれど、少しも効果がない。
昨日は、つい寂しくなって…うかつにもスザクの前で泣いてしまった。
最悪だ。
「泣いたら慌てて…。なんなんだよ、あれ…」
これは、もしやジェネレーションギャップならぬ…いや、もうなんといっていいのやら…。
「…もう一度調べてみようかな…」
どちらにしろ、この部屋から出られないルルーシュは、インターネットでも見るしか時間のつぶしようがないのだ。
2007
「じゃ、じゃあ…行ってくるね」
もくもくと朝食を食べ続けるルルーシュにスザクが気まずそうな顔でそう声をかけた。
妖精のルルーシュと人間のスザクが、妖精界で言うところの「契約」を結んでからはや半月あまり。
仲良くやっていたはずなのだが、ここのところ、二人の間にどうも気まずい雰囲気が流れていた。
「えと…ルルー、シュ?」
「…さっさと行けば」
今までなら、ちゃんと「行ってらっしゃい」と送り出してあげていたのだが、今日はもうそういう気分ではない。
ぷい、と顔を背けると、向こうでスザクが寂しそうにため息をついたのが分かった。
(…先に避け出したのは、スザクの方なのに!)
そう、もとはといえば、こんなに気まずくなったのは、スザクが悪い。
急に変な態度を取り出して…こちらは随分と歩み寄ろうとしたものの、少しもそれに答えてくれないから。
パタン、とドアがしまる。
小さく施錠する音が聞こえた。
(鍵なんて自分で閉められるのに!)
ここのところ、力が戻ってきたのか、背ののびはじめたルルーシュは、もうドアノブに手が届くようになった。
よほどのことじゃない限りは、全部自分で出来るのに、スザクはいつまでもルルーシュのことを子供扱いする。
(…大体、これは俺の本当の姿じゃないんだって…)
妖精界にいる時のルルーシュの姿は、うさぎではない。
変身術という意味では、うさぎに変身できる力を持っているのは言わずもがなだが、今こうして半うさぎ状態なのは、人間界にきてまだ日が浅く、うまく自分の力をコントロールできないからだ。
(続く)
もくもくと朝食を食べ続けるルルーシュにスザクが気まずそうな顔でそう声をかけた。
妖精のルルーシュと人間のスザクが、妖精界で言うところの「契約」を結んでからはや半月あまり。
仲良くやっていたはずなのだが、ここのところ、二人の間にどうも気まずい雰囲気が流れていた。
「えと…ルルー、シュ?」
「…さっさと行けば」
今までなら、ちゃんと「行ってらっしゃい」と送り出してあげていたのだが、今日はもうそういう気分ではない。
ぷい、と顔を背けると、向こうでスザクが寂しそうにため息をついたのが分かった。
(…先に避け出したのは、スザクの方なのに!)
そう、もとはといえば、こんなに気まずくなったのは、スザクが悪い。
急に変な態度を取り出して…こちらは随分と歩み寄ろうとしたものの、少しもそれに答えてくれないから。
パタン、とドアがしまる。
小さく施錠する音が聞こえた。
(鍵なんて自分で閉められるのに!)
ここのところ、力が戻ってきたのか、背ののびはじめたルルーシュは、もうドアノブに手が届くようになった。
よほどのことじゃない限りは、全部自分で出来るのに、スザクはいつまでもルルーシュのことを子供扱いする。
(…大体、これは俺の本当の姿じゃないんだって…)
妖精界にいる時のルルーシュの姿は、うさぎではない。
変身術という意味では、うさぎに変身できる力を持っているのは言わずもがなだが、今こうして半うさぎ状態なのは、人間界にきてまだ日が浅く、うまく自分の力をコントロールできないからだ。
(続く)
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