黒うさぎルルたんの日記
黒うさぎ・ルルーシュの生活記録です。
時々小説形式もあったりします。
禁・無断転載/引用。禁・サ○ライズでお願いします。
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2008
再び引っ越しの風景です。
(…ここが俺たちの新しい家)
これからの、二人の愛の巣となる部屋のドアを、ルルーシュは感慨深げに見つめた。
新しい部屋を見るのは、今日が初めてではない。
部屋選びは二人でしたし、入居前の掃除のために、今日までに何度も通っていた。
それなのに、こんな気持ちになるのは。
『枢木スザク・ルルーシュ』
郵便受けとドアの横に貼り付けられた表札。
手先の器用な、スザクの友人、リヴァルが入居祝いにと作ってくれたものだ。
(…枢木、ルルーシュ…)
心の中で呟き、幸せな気分に浸る。
実際のところ、ルルーシュもスザクも男なので、普通の男女のような結婚は出来ない。
だが、男とか女とかいう前に、妖精と人間という種族の違いすら乗り越えている二人だ。
この際、何でもあり…というのは少々乱暴かもしれないが、別に構わないのではないか、というのが知人連中の見解だ。
世の中には、事実婚という形もあるようだし…。
「ルルーシュ、ごめん。ちょっとそこどいてくれる?」
「あ、…う…」
いけない。ぼうっとしている場合ではなかった。
いくら少ないとはいえ、とっとと荷物を運びこんでしまわなければ、日が暮れてしまうではないか。
笑顔で振り向いたルルーシュだったが、すぐ後ろにいたスザクの様子を見て、言葉を失った。
スザクは洗濯機を抱えていた。
力持ちのスザクだ。そのくらいのことは朝飯前だろう。
だが、ただの洗濯機ではなかった。上には、テレビと電子レンジと炊飯器がのっている。
重さももちろんあるだろうが、よくバランスが保てるものだと思う。
いや、その前に、引越しは共同作業なのに(二人の関係から言えば)、スザク一人が働くのはよくない。
確かに、ぼおっとしていたのは悪いが、「手伝え」の一言くらいはかけてくれなければ。
「…ス、スザク…。何もそんなにいっぺんに持たなくても…。お、俺も運ぶし」
「大丈夫だよ。僕が力持ちなの、知ってるだろ? 重いものは僕に任せて。まだ他にも荷物あるし」
あっち、と顎で指し示した方向を見ると、リヴァルが積荷を下ろしているところだった。
確かに、他にも荷物はある。
(…よし。じゃあ、俺も)
頑張っていいところ見せなくては。
張り切ってリヴァルの側に行くが、「はい」と渡されたのは、荷物とは到底呼べないような手提げ袋が二つだった。
「な、なんで…これ? まだ荷物があるのに」
大きな荷物はごろごろ転がっているというのに、これでは満足できない。
ふん、と鼻を鳴らすと、リヴァルは「だってさ」と苦笑する。
「あっちはスザク用なんだって。スザクが、ルルーシュには、重いもの持たせるなっていうからさ。…ほら、あいつって、怒ると意外と怖いじゃん? 俺もまだ、命は惜しいし…」
「そんなのっ…俺がリヴァルの言うこときかなかったんだって、言ってやるよ。スザク、俺の言うことならきいてくれるもん。引越しなんて早々ないのに、こんなのつまらないっ」
「いやあ…そう言われても…」
駄々をこねてみるが、リヴァルは「駄目」の一点張りだ。
口答えしてはみたものの、リヴァルの言うことには頷ける。
スザクは普段温和なだけに、怒らせるとかなり怖い。
重いものを持つな、というのも、スザクなりにルルーシュを気遣ってくれたことなのだろうし。
(…でも…、引越し初体験なのに…)
元が妖精で、しかも、妖精国の皇族のルルーシュは、生まれたときから宮殿で暮らしていたので、住居を移るという経験がなかった。
最初は、部屋を分けるといったスザクの真意を測りかねていたため、引越ししたいとは思わなかったのだが、今は違う。
これからもずっと一緒だよ、とスザクが誓ってくれたので、俄然引越しが楽しみになった。
初めての引越し。
そのためのリサーチも完璧である。
パソコンを取り外してしまったため、昨夜はインターネットに接続できなかったから、セシルに調べてもらった。
人間界の、しかも、日本の引越しの風習を。
目一杯楽しむつもりだったのに…。
「あれ? どうしたの? 何だか沈んだ顔してるけど」
「…だって! スザクが俺に荷物持つなとか言うから…! つまんないんだもんっ!」
一般的な引越しのように、ルルーシュだって、荷物を運びたい。
こんな、軽い手提げバッグではなく、ちゃんとした荷物を。
切々と訴えるのを、スザクは黙って、にこにこしながら聞いている。
うう…と睨み付けるが、少しも怯んだ様子はない。
ルルーシュがまくしたてるのを最後まで黙って聞き終えたスザクは、「それじゃあ」と、ルルーシュを突然抱きかかえた。
いわゆる、お姫様抱っこだ。
「な、なんで…俺の話…」
さっきの話から、どうしてこんな展開になるのか、全く理解できない。
言葉を失っていると、スザクが耳元にふうと息を吹きかけながら、囁く。
「ルルーシュは引越しの風習を目一杯楽しみたいんだろう? だから、さ。新居には、恋人を抱いたまま足を踏み入れるっていうのが、こっちでの慣わしだから」
「…それ、…本当?」
セシルはそんな話してなかったけど。
疑いの目を向けるルルーシュに、スザクは朗らかに言った。
「そりゃあ、…セシルさんはブリタニア人だもの。日本の風習はよく知らないんだよ」
「…そう、か…」
確かに、ブリタニアと日本では、習慣は違うだろう。なるほど。
一瞬でも、スザクを疑ったりして悪かった。
「…じゃ、…じゃあ、俺に荷物を運ぶなって言ったのも…?」
「…うん。こっちでの風習だよ。その手提げには、大切なものがいっぱい入ってるから、ルルがちゃんと守ってて?」
「…大切なものって?」
「…現金と、二人で書いた婚姻届と、僕のID。保険証。あと、君がナナリーたちと一緒に撮った写真と…ああ、あと、コンドームも」
「な!?」
前半はともかく、最後のものは、そんなに大切なものなんだろうか?
スザクはさらっと口にするのだが、恥ずかしくはないのだろうか。
「…コ…、…なんて、別に…買ってくればいいし、…なしだって…」
ごにょごにょ、と口の中で呟く。
スザクがくすくす笑いながら、軽く耳たぶを噛んだ。
「大切だよ。なしでしちゃうこともあるけど、君の体のこと考えたらつけた方がずっといいし。…何より、すぐわかるところに入れておかないと、すぐに君とエッチできなくて困るから。だから…君がちゃんと持ってて?」
「…う、…」
――めちゃくちゃな(嘘を交えた)日本の風習で、スザクがルルーシュを口説いているすぐ後ろで、リヴァルははあとため息をついた。
「…俺、…もう帰っていいかな」
これからの、二人の愛の巣となる部屋のドアを、ルルーシュは感慨深げに見つめた。
新しい部屋を見るのは、今日が初めてではない。
部屋選びは二人でしたし、入居前の掃除のために、今日までに何度も通っていた。
それなのに、こんな気持ちになるのは。
『枢木スザク・ルルーシュ』
郵便受けとドアの横に貼り付けられた表札。
手先の器用な、スザクの友人、リヴァルが入居祝いにと作ってくれたものだ。
(…枢木、ルルーシュ…)
心の中で呟き、幸せな気分に浸る。
実際のところ、ルルーシュもスザクも男なので、普通の男女のような結婚は出来ない。
だが、男とか女とかいう前に、妖精と人間という種族の違いすら乗り越えている二人だ。
この際、何でもあり…というのは少々乱暴かもしれないが、別に構わないのではないか、というのが知人連中の見解だ。
世の中には、事実婚という形もあるようだし…。
「ルルーシュ、ごめん。ちょっとそこどいてくれる?」
「あ、…う…」
いけない。ぼうっとしている場合ではなかった。
いくら少ないとはいえ、とっとと荷物を運びこんでしまわなければ、日が暮れてしまうではないか。
笑顔で振り向いたルルーシュだったが、すぐ後ろにいたスザクの様子を見て、言葉を失った。
スザクは洗濯機を抱えていた。
力持ちのスザクだ。そのくらいのことは朝飯前だろう。
だが、ただの洗濯機ではなかった。上には、テレビと電子レンジと炊飯器がのっている。
重さももちろんあるだろうが、よくバランスが保てるものだと思う。
いや、その前に、引越しは共同作業なのに(二人の関係から言えば)、スザク一人が働くのはよくない。
確かに、ぼおっとしていたのは悪いが、「手伝え」の一言くらいはかけてくれなければ。
「…ス、スザク…。何もそんなにいっぺんに持たなくても…。お、俺も運ぶし」
「大丈夫だよ。僕が力持ちなの、知ってるだろ? 重いものは僕に任せて。まだ他にも荷物あるし」
あっち、と顎で指し示した方向を見ると、リヴァルが積荷を下ろしているところだった。
確かに、他にも荷物はある。
(…よし。じゃあ、俺も)
頑張っていいところ見せなくては。
張り切ってリヴァルの側に行くが、「はい」と渡されたのは、荷物とは到底呼べないような手提げ袋が二つだった。
「な、なんで…これ? まだ荷物があるのに」
大きな荷物はごろごろ転がっているというのに、これでは満足できない。
ふん、と鼻を鳴らすと、リヴァルは「だってさ」と苦笑する。
「あっちはスザク用なんだって。スザクが、ルルーシュには、重いもの持たせるなっていうからさ。…ほら、あいつって、怒ると意外と怖いじゃん? 俺もまだ、命は惜しいし…」
「そんなのっ…俺がリヴァルの言うこときかなかったんだって、言ってやるよ。スザク、俺の言うことならきいてくれるもん。引越しなんて早々ないのに、こんなのつまらないっ」
「いやあ…そう言われても…」
駄々をこねてみるが、リヴァルは「駄目」の一点張りだ。
口答えしてはみたものの、リヴァルの言うことには頷ける。
スザクは普段温和なだけに、怒らせるとかなり怖い。
重いものを持つな、というのも、スザクなりにルルーシュを気遣ってくれたことなのだろうし。
(…でも…、引越し初体験なのに…)
元が妖精で、しかも、妖精国の皇族のルルーシュは、生まれたときから宮殿で暮らしていたので、住居を移るという経験がなかった。
最初は、部屋を分けるといったスザクの真意を測りかねていたため、引越ししたいとは思わなかったのだが、今は違う。
これからもずっと一緒だよ、とスザクが誓ってくれたので、俄然引越しが楽しみになった。
初めての引越し。
そのためのリサーチも完璧である。
パソコンを取り外してしまったため、昨夜はインターネットに接続できなかったから、セシルに調べてもらった。
人間界の、しかも、日本の引越しの風習を。
目一杯楽しむつもりだったのに…。
「あれ? どうしたの? 何だか沈んだ顔してるけど」
「…だって! スザクが俺に荷物持つなとか言うから…! つまんないんだもんっ!」
一般的な引越しのように、ルルーシュだって、荷物を運びたい。
こんな、軽い手提げバッグではなく、ちゃんとした荷物を。
切々と訴えるのを、スザクは黙って、にこにこしながら聞いている。
うう…と睨み付けるが、少しも怯んだ様子はない。
ルルーシュがまくしたてるのを最後まで黙って聞き終えたスザクは、「それじゃあ」と、ルルーシュを突然抱きかかえた。
いわゆる、お姫様抱っこだ。
「な、なんで…俺の話…」
さっきの話から、どうしてこんな展開になるのか、全く理解できない。
言葉を失っていると、スザクが耳元にふうと息を吹きかけながら、囁く。
「ルルーシュは引越しの風習を目一杯楽しみたいんだろう? だから、さ。新居には、恋人を抱いたまま足を踏み入れるっていうのが、こっちでの慣わしだから」
「…それ、…本当?」
セシルはそんな話してなかったけど。
疑いの目を向けるルルーシュに、スザクは朗らかに言った。
「そりゃあ、…セシルさんはブリタニア人だもの。日本の風習はよく知らないんだよ」
「…そう、か…」
確かに、ブリタニアと日本では、習慣は違うだろう。なるほど。
一瞬でも、スザクを疑ったりして悪かった。
「…じゃ、…じゃあ、俺に荷物を運ぶなって言ったのも…?」
「…うん。こっちでの風習だよ。その手提げには、大切なものがいっぱい入ってるから、ルルがちゃんと守ってて?」
「…大切なものって?」
「…現金と、二人で書いた婚姻届と、僕のID。保険証。あと、君がナナリーたちと一緒に撮った写真と…ああ、あと、コンドームも」
「な!?」
前半はともかく、最後のものは、そんなに大切なものなんだろうか?
スザクはさらっと口にするのだが、恥ずかしくはないのだろうか。
「…コ…、…なんて、別に…買ってくればいいし、…なしだって…」
ごにょごにょ、と口の中で呟く。
スザクがくすくす笑いながら、軽く耳たぶを噛んだ。
「大切だよ。なしでしちゃうこともあるけど、君の体のこと考えたらつけた方がずっといいし。…何より、すぐわかるところに入れておかないと、すぐに君とエッチできなくて困るから。だから…君がちゃんと持ってて?」
「…う、…」
――めちゃくちゃな(嘘を交えた)日本の風習で、スザクがルルーシュを口説いているすぐ後ろで、リヴァルははあとため息をついた。
「…俺、…もう帰っていいかな」
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世界は二人だけ~~♪
めちゃくちゃな(嘘を交えた)日本の風習をルルーシュに教えるスザク←やりますねvさすがvスザクvv
スザクの嘘にコロッと騙されちゃう穢れない純真なルルーシュvvv
スザクを愛するがゆえ騙されちゃうのですね♪
かわいい~~vvVV
世界は二人だけ~~♪をナチュラルでする二人。癒されます。
スザクがルルーシュを口説いているすぐ後ろに居る・・・すっかり二人に存在を忘れられているリヴァルに笑いました/爆笑。
あれ!?
もしかして、スザクはリヴァル居ること覚えているのでしょうか?
覚えているけど、ルルーシュ口説くのに、ナチュラル無視??!!
ルルーシュ至上主義!!
ルルーシュは、リヴァル居ること本気で忘れていそうですが/笑
黒うさぎルルたんのほのぼのに癒されます。
スザクの嘘にコロッと騙されちゃう穢れない純真なルルーシュvvv
スザクを愛するがゆえ騙されちゃうのですね♪
かわいい~~vvVV
世界は二人だけ~~♪をナチュラルでする二人。癒されます。
スザクがルルーシュを口説いているすぐ後ろに居る・・・すっかり二人に存在を忘れられているリヴァルに笑いました/爆笑。
あれ!?
もしかして、スザクはリヴァル居ること覚えているのでしょうか?
覚えているけど、ルルーシュ口説くのに、ナチュラル無視??!!
ルルーシュ至上主義!!
ルルーシュは、リヴァル居ること本気で忘れていそうですが/笑
黒うさぎルルたんのほのぼのに癒されます。
Re:桜夜様v
こんにちは。コメントありがとうございますv
黒うさぎルルたん…スザクのことは目一杯信じちゃってますので、どんな嘘も信じちゃうんです(笑)
もうちょっと疑うということを知った方がいいかもしれませんv
かわいそうなリヴァルは、二人からすっかり忘れられていました(笑)
人がいいだけに、結局、黙って帰ることができずに、あてられっぱなしだったようですv
黒うさぎルルたん…スザクのことは目一杯信じちゃってますので、どんな嘘も信じちゃうんです(笑)
もうちょっと疑うということを知った方がいいかもしれませんv
かわいそうなリヴァルは、二人からすっかり忘れられていました(笑)
人がいいだけに、結局、黙って帰ることができずに、あてられっぱなしだったようですv
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