衝撃 24

いちゃいちゃは続く。

「優しくするし、着替えも後でちゃんと持ってきてあげるから、許してくれる？」

そう訊かれて、ルルーシュは少し考えた。
ちょっと気にかかることがあったからだ。

「…着替えとりにいく時、ちゃんと上着きていく？」
「ん？　うん。なんで？」
「だって…」

そんなの、ちょっと考えれば分かることではないか。
分からないなんて、ちょっと愛が足りない気がする。

「スザクは俺のスザクなんだから、俺以外の前で裸見せちゃ駄目。眼鏡の前でも、着替えとかしちゃ駄目だから！」
「う、…う〜ん」

なんだ！　その「う、う〜ん」という答えは！
気になるじゃないか。

＊＊＊

実は、スザクはルルーシュにかくしていることがあった。
もちろん、浮気をしているとか、そういうことでは断じてない。
仕事のことだった。

（…ナイトメアのテストパイロットやってるっていったら、ルルーシュおこるかなあ）

怒る、というよりは、心配するかも。
そう思うと、ついついいえなかった。

通称・ナイトメア。

ナイトメアフレームは、人型戦闘機のことだ。
ロイドが開発した新型機体・ランスロットは、少々特別な機体だ。
操縦者を選ぶとでもいおうか。

いくつもの適正検査とテストをへて、スザクはランスロットのテストパイロットに選ばれていた。
だが、ロイドいわく、「スザクくんほど波長があう部品はないから！」ということなので、そろそろ「テスト」はとれるかもしれない。
今のところ、危険なことはしていないのだが、有事の際には、前線に出ることになるだろう。

最近の情勢から考えて、有事があるとは思えないが、ルルーシュをへんに心配させたくない。

まあ、この際、それはおいておくとしても、だ。

裸を見せちゃ駄目といわれたが、「部品」と称されるスザクの裸は、ロイドだけでなくセシルにだって、ばんばん見られている。
別にやましい意味はないのだが、「絶対に見せるな」といわれても、確約はできない。
どうしようかと考えを巡らせていると、どうやらおかしな疑いを持ったらしい。
ルルーシュがほおをぎゅっとつねってきた。

「…浮気したら、許さないから」

少々泣きそうな顔で。
ああ、もう！　どうしてこんなにかわいいんだろう！
あまりのことに身悶えしそうになる。
毎日毎日、すきだとあんなに言葉と態度で示しているのに、どうしてそんなことをいうのか理解に苦しむ。
こんなにかわいいルルーシュがいるのに、誰と浮気しろというんだ。

スザクはちゅっと柔らかなほおにくちづける。

「いいよ。許さなくて。だって、浮気なんてしないし」
「…ホント？」

本当以外の何ものでもない。大きく頷くと、ルルーシュは心底うれしそうに微笑んだ。