衝撃 14

男二人の会話は聞いても楽しくない…。

「あ、あれ〜、そうなんですか〜？？」

驚愕の事実を知らされ、スザクがかたまっていると、ロイドがそんなのんきなことを言った。
そうなんですか、ってあんたの婚約者だろうが！　とのど元まででかかったが、スザクは必死になって飲み込んだ。
最近は、だいぶ人間が丸くなったけれど、もともとのスザクはどちらかといえば、攻撃的なところがある。
もちろん、誰彼かまわず攻撃するというわけではないけれど…。

ある程度のところで自分をおさえておかないと、とんでもないことになりそうな気がする。
ことに、今日は、おはようのキスすらかわしていない、という多大なストレスがある。

ロイドの言葉に、シュナイゼルはひどく驚いた様子で、

「え？　知らなかったのかい？　あのミレイと婚約するくらいの男だからと思って、君と契約したんだけど…」
「はあ…いや、初耳ですねえ。というか、そういうことって、あんまり言いふらさないんじゃ…？」

町娘と花魁の会話など、聞いていられるか！
スザクはミレイに向き直…ろうとすると、主犯、共犯の三人、およびルルーシュまでもがその場から消えていた。

「え！？」

この期におよんで、また！？
だが、四人はパーティ会場に移動するところだったらしい。
スザクたちがきていないことに気付いたルルーシュが、慌ててやってきた。

「スザク！　何やってるんだよ！　早く！」
「ル、ルル…」

スカートの裾を華麗にさばきながら走ってくる、美しい乙女。
腰までの長さのウィッグも、とてもよく似合っていて…スザクは思わず見とれてしまう。

（か、かわいい…）

じっと見ていると、ルルーシュが恥ずかしそうに頬を染めた。

「そ、そんなにじっと見るなよ、恥ずかしいだろ…」
「ご、ごめん…。でも、その…ルルーシュはいやがるかもしれないけど、すごくかわいかったから…」

おこられるかな、と思ったけれど、ここまで女装してしまうと逆に吹っ切れたのか、ルルーシュは怒りはしなかった。

「スザク」

ちゅ、と不意打ちのキスが、唇におくられた。

「…ちょっと遅いけど、おはようのキス、だよ」

ああもう！
どうして、ここが自分の部屋じゃないんだろう！
今すぐにでも、押し倒してしまいたい！