衝撃 １

短めの小話を…。
二人の休日ですが、どうも平和にはいかない様子です。

今日は、スザクとそろっての休日。
たまにはどこかに出かけよう、といわれ、ルルーシュはとても楽しみにしていた。
天気がよければ、どこかにピクニックにいくのもいい。
映画を見にいくのもいいし…と、いろいろと計画をたてていた。

出かけるにしても、朝はゆっくりと決めていたので、夕べはたっぷり仲良しな時間を持った。
いまだに恥ずかしさは拭えないが、セックスレスな生活など考えられない。
もちろん、そればかりではないけれど、ルルーシュは、スザクのたくましい腕に抱きしめられるのが大好きだった。
もちろん、スザクには内緒だ。
…と思っているのは、ルルーシュ本人だけで、そんな気持ちはばればれなのだが。

「…ん〜…？」

少し狭いが、二人で眠るベッド。
すぐそばにいるはずのぬくもりを確かめたくて、ルルーシュはそっと手をのばす。
ぱたぱたとその場をたたいてみるが、ベッドのスプリングの感触しかしない。
いつもはそこにいるはずのスザクがいなかった。
狭いベッドだから、手が届かないほど遠くにいくはずがないのに。

ルルーシュは眠い目をこすりながら、むくりとベッドがから起き上がる。
まだ、少し体がだるい。
ふと、落とした視線の先、胸や太ももの内側に、いっぱい赤い跡がちっている。

「…スザク、こんなに跡つけて…、もお…」

みえない場所ならつけてもいいと確かにいったけど、何もこんなにいっぱいつけることないのに。
そんなことを思いながら、ルルーシュはゆっくりとベッドからおりる。

きっと風呂に入っているんだろう、と思ったのだ。
少しふらつきながらも、ルルーシュはバスルームへとたどり着く。

「…スザク？」

だが、おかしなことに、バスルームの明かりはついていなかった。
では、トイレ？
ノックとともにあけてみるが、やはりいない。

「…スザク、どこ…？」

どこにもいない。
狭い部屋なので、隠れる場所などないのに。
どこか買い物にいっているのだろうか。
そういえば、冷蔵庫の中身が心もとないといっていたような気もするが。

「…でも、俺に黙って…？」

以前、ルルーシュが寝ている時に、スザクが買い物にいってしまったことがあった。
その時、ルルーシュがとても心配して大騒ぎしたから、以来、スザクが黙ってどこかにいってしまうことはなかった。

ぶるりと身を震わせる。
裸のままだから、冷えて当然だ。
ルルーシュは、床に散らばったシャツをひろい、身に付けた。
スザクのシャツ。
大人の人間の姿になったルルーシュは、長身ではあるが、細いので、スザクのシャツは少しだけ大きい。

（スザクのにおい…）

お日さまのような、スザクのにおい。
どこにいってしまったんだろう？
ルルーシュを驚かせようとしているんだろうか。

「…スザク？　おこらないから出てきて？　なあ、スザク？」

ぽつんと一人残された部屋の中、ルルーシュはあちこちに呼びかける。
だが、いらえはない。

その時だった。
電話がなったのは。

きっとスザクだ。
そう思って、耳にした受話器から聞こえてきたのは、機械的な、男とも女ともつかない声だった。
相手は告げた。

『枢木スザクは預かった。返してほしくば、こちらのいうとおりにしろ」と。

「誘拐！？」

なんてことだろう！
スザクが何者かに誘拐されてしまったのだ！