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黒うさぎルルたんの日記

黒うさぎ・ルルーシュの生活記録です。 時々小説形式もあったりします。 禁・無断転載/引用。禁・サ○ライズでお願いします。 コメント頂けるとすごくうれしいです♪

   2024

0519
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   2009

0207
ルルたんの初詣編、続きです。



「え…食べちゃうって…? 俺のこと? それって…」
ルルーシュは宝石のような目をぱちぱちさせながら訊ねてくる。
ここまでくれば、いいかげん察するだろうと思ったのに、薔薇のような唇から出てきた言葉は、かなり飛んだものだった。
「…お、俺のこと、うさぎ鍋にする気…?」
うるうると瞳を潤ませる。
妖精殺し…と呟き、ぷんと顔を背ける。
「…信じられない…。お、俺とスザクは…恋人…夫婦だっていったのに、俺を鍋にして食べようだなんて…! いくら飽食の時代だからって…」
「ちょ、ちょっと…。なんで、思考がそっちに行くかな?」
スザクは慌てた。
まさか、そちらに行くとは!
食べるといったら、普通は「あっち」にいくだろうに。
ルルーシュがずれているのはいつものことだが、まさか自分が鍋にされると勘違いするとは…。
「ルルーシュってば、…それ、食べるの意味が違うって…」
「…どう違うんだよ?」
べえっとルルーシュはあかんべえをして見せた。
いちいちやることが可愛い。スザクは、すかさずピンク色の舌をぺろっと舐める。
「…舐めたっ!」
「はい、舐めちゃいました」
責めるように言うので、それが何か、と言わんばかりに答える。
当然だ。そんなおいしそうなもの、目の前に出す方が悪い。
ついでに鼻の頭も舐めると、ルルーシュは「…やっぱり」と呟く。男の子の時にはスザクと身長はほぼ変わらないが、女の子になると少しばかり縮んでしまう。
コートの袖を握りしめたまま、上目遣いに睨みつけてくる。
「…スザク、ひどい。年越しそばを食べて太った俺を鍋にしよう、なんて…」
「そば一杯で太るわけないだろう? それに、年越しそば作ってくれたのはルルーシュだよ?」
スザクは苦笑する。
年越しそばは絶対に食べなくては!と張り切っていたのはルルーシュではないか。
なんだか随分と勝手な言い分だ。
(…もしかして女の子になると思い込みが激しくなる、とか…? あと、怒りっぽくなるとか…?)
女性にたいして偏見があるわけではないが、ホルモンバランスの関係で、メンタルな部分に影響が出ることもあるそうだし。
(…でも、妖精だし、一時的だし、ホルモンバランスってあるのかな…??)
そのあたりは少々謎だが。
「ルルーシュってば。こっち向いて」
「や」
ルルーシュがふんと顔を背けてしまったので、少々猫なで気味に声をかけるが、効き目無し。
綺麗な振り袖を身につけていることもあり、つんつんしていると深窓の令嬢のようだ。
まあ、皇子なわけだし、深窓といえば深窓だが。
「ルルーシュ…。本当に、お鍋にしたりしないから、機嫌直してよ」
「…や〜だ」
考えてみれば、スザクが謝るのも変な話なのだが、やはりせっかくの年末なので、喧嘩で終わりたくはない。
どうしたら機嫌がなおるだろう。
ううむと考えて、そういえば、夏祭りの時、出店での買い食いを楽しんでいたルルーシュだ。
何か買ってあげたら許してくれるだろうか。
…などと、小さな子を相手にするかのようなことを考えていると、
「…えへ、ひっかかった」
とルルーシュが、えい、とスザクの頬を軽くつねった。
「…え? ひっかっかったって、何?」
状況が掴めず、スザクは首をひねる。
ルルーシュは愛らしい顔いっぱいに笑みを浮かべ、
「嘘に決まってんじゃん。スザクが俺をうさぎ鍋にするなんて本気で思うわけないだろ。年の終わりに人を騙すと、その人は次の年、無病息災になれるっていうおまじないがあるんだ。だから、騙してみた」
そう言って、えへへ、とルルーシュが笑う。
「…それって、妖精の世界のおまじない?」
「うん。そう。あれ? 人間の世界には、そういうのなかった?」
「…うん…。多分、ない、かな…」
一気に力が抜けた。
今までのが全て演技だったとは!
ルルーシュはかなりの演技派だ。
それにしても…。
「うまく騙せた」と喜ぶ恋人の姿を見て、スザクは嬉しいような憎らしいような複雑な思いだった。
騙したのはあくまで善意だし。
喜んでいる姿を見るのは嬉しい。はしゃいでいる姿は可愛いと思うのだが…。
(…でもさ、この際、僕も騙さないとちょっと気がすまないかも)
それほど深刻にはとらえなかったけれど、喧嘩したままで年末を過ごすのかな、とやきもきした。
ほんの少しとはいえ、精神的苦痛を味わったのだ。
これは、このまま黙っているわけにはいかないだろう。
それに、騙すことが次の年の幸せに繋がる、というのなら、スザクだってそれをやらねばなるまい。
善意のおかえしだ。
「…ルルーシュ、ところで」
「…何? スザク?」
ルルーシュはスザクの心中などまる知らず、きゅるんと首を傾げる。
「…姫始めの話なんだけど…。実は、僕、重大な間違いをしてたんだ」
できるだけ厳かに告げる。
「…間違いって?」
「…姫始めっていうのはさ、もちろん、恋人の前以外では言っては駄目なんだけど…考えてみたら、あれは、年が変わる時に家にいなくちゃいけなかったんだよ。だから、…初詣をしてたら、姫始めが出来ないんだよ」
「え? 家にいなくちゃいけないの? 初詣終わってからかえれば…」
「それが駄目なんだ。時間も決まってるからさ」
「…ええ…。でも、初詣…」
ルルーシュは、名残惜しそうだ。
だが、姫始めも、重要らしく、どちらにしようかと葛藤しているらしい。
「初詣は、明日くればいいじゃないか。着物だって、また僕が着せてあげるし。初詣は、昼間でもいけど、姫始めは今すぐじゃなくちゃ駄目なんだよ?」
「…う〜ん…」
つまり姫はじめとは何なんだ? と疑問には思わないのだろうか。
ルルーシュは妙に素直で、騙されやすいところがあるので、心配になる。まあ、この場合、騙されてくれなければ困るのだが。
「…うう…、じゃあ、戻る。姫はじめ、ちゃんとしたいし。でもさ、日付が変わる前に家に戻れるかな?」
「大丈夫。あと10分くらいあるから。僕に任せて」
「…うん…?」
にや、と笑ってみせると、ルルーシュは不思議そうに首を傾げた。
何を任せるのか、という疑問が顔に書いてある。
「よい、…しょ、…っと…」
「え!? スザク?」
スザクはひょい、とルルーシュを抱き上げた。
何する? と大騒ぎしているから、かすめ取るようにキスをして黙らせる。
「こ、ここ…ひとがいっぱ…」
かあっと頬を染めている。可愛い。
だが、回りは自分に精いっぱいだから、あんな一瞬のキスなど誰も見てはいなかった。
教えてあげてもいいが、心配したままの方が可愛いから放っておこう。
「さ、行くよ、ルルーシュ、つかまって!」
「え!?」
スザクは、ルルーシュを抱えたまま走りだした。
目指すは二人のスイートホーム。

真の姫はじめをルルーシュが知るまで、あと少し。
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プロフィール
HN:
ルルーシュ@森田望愛
性別:
非公開
自己紹介:
ルルーシュやスザクになりきって、好き勝手書いてます。
個人の妄想による産物なので、その点ご了承下さいね。
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