黒うさぎルルたんの日記
黒うさぎ・ルルーシュの生活記録です。
時々小説形式もあったりします。
禁・無断転載/引用。禁・サ○ライズでお願いします。
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2008
長く間があいてしまいましたが、また頑張ってみようと思います。
ちょっと生活に変化を…。
ちょっと生活に変化を…。
「ルルーシュ、そっちの荷造り終わった?」
「…まだ」
「…まだって…君、全然手を動かしてないじゃないか。いくら荷物が少ないっていっても…間に合わなくなっちゃうよ? 明日ここ出るんだから」
ふと覗き込むと、ルルーシュが担当するはずのクロゼットの整理が全く終わっていない。
明日の午前中には、友人のリヴァルがトラックで来てくれることになっている。
何としても、今日中に荷造りを終えなければならないのに、こんな調子では困るではないか。
「…ルル、ちょっと真面目に…」
「真面目にやってるもん! も、ものが多いから終わらないんだっ」
唇を尖らせ、ぷいっと顔を背ける。
どこが真面目にしてるんだか…。
ものが多いというのも、もちろんただの言い逃れだ。
一人暮らしだった頃よりは、ものは増えているが、二人分あわせても、クロゼットの中身はかなり少ない。
それは、スザクもルルーシュも、ものに対しての執着が全くといっていいほどないからだ。
(…女装グッズがあれば、まあ…すごいことになったんだろうけど)
以前、先輩のセシルがくれた女装グッズ。
とある事件で、女装したルルーシュがとにかく可愛かったから、とセシルが厳選した衣装をたっぷり送ってくれたことがあった。
あれはすごかった。
ありとあらゆる種類の服が送られてきて、クロゼットに入らないほどだったのだから。
結局、怒ったルルーシュが全てネットオークションに出してしまったのだが…。
「…ねえ、ここより広いところに行けるのに何が不満なんだい? 何となくだけど…引っ越しがきまってから、不機嫌だよね?」
「…けーわいのくせに、よく気づいたな」
返された言葉に苦笑する。
「けーわい」とは、KY。
空気が読めないということの造語らしい。
ネットサーフィンが好きなせいか、時々おかしな言葉を覚えてきては、スザクを翻弄するのだ。
「…僕は、ルルーシュのことには敏感なつもりだけど?」
いつまでも顔を背けたままなので、身体を移動して、正面にまわった。
すると、ふい、と今度は逆の方向に顔を背ける。
またも身体を移動して正面にまわる。
同じ事を繰り返す。
何度かそんなことをしていると、首をひねったらしく、「痛い」と涙目になった。
「…僕に意地悪するからだよ。ほら、おいでよ」
「い、意地悪なんてしてないっ」
相変わらず口答えしてくるものの、素直に身体を寄せてきた。
ひねった場所を優しく撫でてやりながら、柔らかな髪にキスをする。
唇をさらに頬に移動しようとすると、「埃っぽくなってるからやめろ」と抵抗された。
とんでもない意地っ張りだ。
本当はキスしてほしいくせに。
さっきよりも、顔の位置が内側に入っているのはその証拠ではないか。
「ほとんど片付けしてない君が、埃っぽいはずないだろ?」
「…してなくも、ない」
図星らしく、もごもごと口の中でそう呟いた。
が、それ以上、返す言葉もないらしい。
「質問に答えて? …僕が君の気の触るようなこと、したのかな?」
「…スザクがっていうか…」
何やら歯切れが悪い。
あまりにこんな状態が続くと、少しばかり不安になる。
ぎゅっと抱きしめると、「痛い」とルルーシュが声をあげた。
「…ねえ、…まさかと思うけど…僕と離れて暮らしたくなった、とかじゃない、よね…?」
言葉にして、思わず泣きそうになった。
もし、頷かれたらどうしよう。
だが、ルルーシュから返ってきたのは、「馬鹿、そんなわけないだろっ」という叱責にも似た叫びとだった。
「いつまでも一緒にいたいに決まってるだろ、馬鹿…。一緒にいたいから、引っ越ししたくないんだっ」
「…え?」
意外な答えだった。
どういうこと、と訊ねると、ルルーシュはもじもじしながら、
「…だって、お前…新しいとこでは、部屋分けるって…。お、俺は…いつも、お前と一緒がいいのに、ベッドをわけるなんてあんまりだ! …お、俺にあきたってこと…」
「ええ? 何言ってるんだい、ルルーシュ? ベッドは一緒に決まってるじゃないか!」
何がどうなってそんな話になったのか?
ベッドを別々にするなんてとんでもない!
「僕は、趣味の部屋とベッドルームに分けられるね、って言ったんだよ? 今まではほら…パソコンも、ベッドも…何もかもいっしょくたで落ち着かなかったから…」
「へ…?」
鳩が豆鉄砲を食らったような顔で、ルルーシュはこちらを見た。
小首をかしげ、「そうなのか?」と呟く。
今の部屋は、ワンルームだ。
それは、以前はスザクが一人暮らしだったからなのだが、ルルーシュがきてからはやはりワンルームでは少々手狭だなと思うことが多かった。
別にふれあう距離が嫌だというわけではない。
むしろそれは大歓迎なのだが、この狭さでは人を呼ぶことも厳しい。
このたび、少しばかり昇進したこともあり、思い切って2LDKの部屋を借りることにしたのは、そのせいもあった。
ルルーシュの妹たちーナナリーとユフィも、今は、人間界にきている。
時には、彼女たちも遊びにくることがあるだろう。
そんな時、もう一部屋あれば、きょうだい水入らずで過ごせるのではないかとそう思ったのだ。
ルルーシュはきっと、そんなことかまわないと言うだろうが、せっかく遊びにきたのに、スザクの遠慮するようでは、彼女たちがかわいそうだ。
それに、何だかんだといっても、ルルーシュもその方が落ち着くだろうし…。
「じゃ、じゃあ…俺のことが嫌になったからじゃなくて…」
「そんなこと、悪いけど、絶対にありえないよ?」
こんなに好きなのに、嫌になるなんてあるわけない。
重ねて強く言うと、ルルーシュは感激した様子で、目を潤ませた。
「…よかった、…お、俺…スザクが、もう俺とは一緒にいたくないから、広いところに引っ越すのかと…。じゃあ、…今まで通り、一緒に寝る?」
「もちろん。…今度は、お風呂広いから、お風呂だって一緒だよ?」
趣味の部屋とベッドルーム。
分けるには分けるが、ルルーシュがネットサーフィンしている時も、スザクはそばを離れないつもりだし、基本的に、家の中で離れるつもりはない。
唯一例外はトイレだろうが…。
スザクの言葉ににこにこしながら、ルルーシュは、「じゃあ、早く片付けしなくちゃ!」と俄然張り切りだした。
「ほら、スザク。さぼったら駄目!」
腕の中からするりと抜け出すと、そんなことを言いながら、てきぱきと手を動かし始めた。
まったく現金なものだ。
スザクは苦笑しつつも、ルルーシュの可愛らしい勘違いにあたたかい気持ちになった。
(おわり)
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